∞芸術祭

Greeting

ごあいさつ

実行委員長・藝術監督 渡邊晃一
(福島大学芸術による地域創造研究所 所長/人間発達文化学類 教授)

 福島には、幾重にも重なる時間があります。
 大地が育んできた長い歴史、人々が受け継いできた暮らしや文化、震災と原子力災害によって大きく変化した風景、そして未来へ向かって歩み続ける人々の営み。それらは決して過去と現在に分断されるものではなく、絶えず結び直され、新たな物語を生み続けています。
 『∞芸術祭(Futaba Arts Festival)』では、「∞(インフィニティ)」をテーマに掲げました。
 無限とは、終わりがないという意味だけではありません。それは、人と人とのつながり、地域と世界との対話、自然と芸術の循環、記憶から未来へと続く創造の営みを象徴しています。
 芸術は答えを示すものではなく、問いを育てるものです。一つの作品との出会いが、新しい視点を生み、一人ひとりの経験と重なり合うことで、新たな意味が生まれていきます。その連鎖こそが、無限の創造の始まりです。
 福島県の中でも双葉は3.11東日本大震災、東京電力原子力発電所事故により最も困難を経験した地域です。同時に現在では新しい社会や文化を構想する最前線でもあります。ここで育まれる芸術は、地域の歴史や自然、産業、人々の営みと響き合いながら、新たな未来像を提示していきます。
 震災後15年を迎え、祈りと〈生命〉のつながり、伝統文化を継承する願いを込めて「∞芸術祭」は、国内外のアーティスト、研究者、学生、地域住民、来場者がともに参加し、多様な価値観が交わる場を目指します。
 福島から新たにはじまる一つひとつの出会いが、未来へと広がる無限の可能性となることを願って、本展を開催します。